ウォルマートに小額で投資しました。
最近はIT企業の株価上昇が著しいですが、ウォルマートも同様の観点から今後の上昇が期待できると考えました。
本記事ではウォマートを簡単に紹介しつつ、財務的な状況、経営戦略、および将来性を紹介します。
ウォルマートの概要
ウォルマートは世界最大のGMS(総合スーパー)です。
下記はフォーチュン社が毎年発表しているグローバル500の上位10社です
ウォルマートの売上高は5,230億ドルと圧倒的な規模になっています。
「ここまで大きな企業にこれ以上の成長余地はあるの?」と思われる方も多いと思います。
では続いて株価と決算情報の推移を見ていきましょう
下表はウォルマートの株価推移とその分析下記は株価と1株当利益の四半期ごとの推移です。順調に上昇していることがわかります
続いて、PERの四半期ごと推移を見てみましょう。
2016年1月期には概ね15倍位でしたが、今は25倍弱となっており、年々期待値が上昇していることがわかります。
ウォルマートの売上高などの決算情報の分析
続いて、売上高とEBITDAマージンを見てみます。
売り上げが順調に成長していることに加え、EBITDAマージンが2019年から改善に転じていることがわかります。
ウォルマートが増収増益していることから、株価が上昇していることに違和感はありません。
しかし、PERが上昇していると言う事は企業に対する株主の期待値が上昇していると言うことです。
総合スーパーと言う古い業態に対し、なぜこのように期待値が高まっているのでしょうか?
ウォルマートの経営戦略
その理由は、ウォルマートの積極的なeコマースの展開と思われます。
ウォルマートは近年下記のようにeコマース企業を次々と買収しています
買収したe-commerce企業一覧
- Jet.com(米国のe-commerceサイト)
- ModCloth(レディースアパレル)
- EcShoes.com(シューズ専門)
- Moosejaw(アウトドア用品)
- Bonobos(メンズアパレル)
- BareWeb(下着ブランド)
- Flipkart(インドEコマース最大手)
さらに、先日はティックトックの買収計画も発表しました。ウォルマートがeコマース事業に本気で参入することに株主が期待していると思われます
一方で、eコマースはアマゾンの独壇場です。ウォルマートに勝機はあるのでしょうか。
ウォルマートが進めるIT戦略の将来性
ウォルマートがeコマース展開を進める一方で、アマゾンはホールフーズを買収しリアル店舗展開を進めています。
更に、実店舗を自前でも開きました。
このことが意味するのは、eコマースにも限界があり特に生鮮食品系は実店舗の需要が残ると言うことでしょう。
この分野でウォルマートが独自戦略を進めていると考えています。では、どのような戦略を考えているでしょうか。
僕はe-commerce事業と、広告業だと考えています。アマゾンのビジネスモデルを参考に考えていきます。
下表はアマゾンのビジネスモデルを図式化したものです。注目すべきは、ネット広告でも売り上げを出していると言うことです。
上記のように、SellersやVendorsから広告料(Ads)を受け取っています。
ネット広告はアマゾンのその他(Others)売り上げのほとんどを占めていますが、下表の通り急激に伸びています。
具体的に行っているのは、顧客の購買情報をもとにした「オンライン広告ならでは」の広告戦略です
オンライン広告では出稿している広告から購買へのつながりが全て数値化することができますから、テレビや雑誌の広告と違って、広告の効果を数的に分析し、改善につなげることができます。
また、顧客が購買意欲を持ってから実際に購買するまでの距離がオフライン広告に比べ圧倒的に短いため、そもそも広告の効果自体が高いと言われています。
Statistaによるとネット広告のマーケットは急激に伸び続けており、今後も伸び続ける見込みです。
GAAFAを始め多くのIT企業がこの分野に進出しています。
では、ウォルマートが考える広告戦略とはどのようなものでしょうか。
戦略①:eコマースサイトと実店舗への集客
1つはアマゾン同様、eコマースとオンライン広告の組み合わせでしょう。
例えばティックトックを通じて多くのインフルエンサーに商品を宣伝してもらい、自社のオンラインサイトへ呼び込むことが考えられます。
もう一つは、リアル店舗への集客と思われます。生鮮食品系を始め実店舗での購入が望ましい商品について、オンライン広告から実店舗への誘導が可能です。
戦略②オンライン広告主としての独自展開
個人的に面白いと思うウォルマートの独自戦略は、サイネージ広告などのリアル店舗での広告展開です。
サイネージ広告とは、下の写真のように店舗内に掲示する画面上の広告のことです。
ウォルマートがeコマースやオンライン広告で入手した顧客の購買データをもとに、効果的なサイネージ広告を打つことができるでしょう。
このサイネージ広告に費用を投じるメーカーは相当な規模だと思いますから、かなり儲かるビジネスだと思います
将来的には来店者の顧客情報をリアルタイムで数値化することもできます。そうすると、サイネージ広告の効果もさらに高まると思われます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ウォルマートによるeコマース展開やネット広告展開は一見奇抜な印象がありますが、かなり成功が見込める戦略と思われます。
まずウォルマートは巨大なキャッシュインフローがあるので、成長戦略に投資する資金余力はかなりのものがあります。
続いて、リアル店舗での展開が圧倒的なので、これを生かした独自のeコマース戦略や広告戦略の展開が可能と思われます。
傘などのIT企業の成長もいつかは頭打ちとなるので、その先を見越した投資先として、ウォルマートなどを検討する価値があると思います。
本記事は以上です、また別の記事でお会いしましょう。