「USCPAの受験科目(FAR・AUD・REG・BEC)4つはどの順番で勉強すれば良いんだろう?最短距離で合格できる順番が知りたい。」
本記事はこんな悩みに答えます。
科目をどの順番で受けるかは非常に大切です。合格を左右する問題と言っても過言ではありません。
僕は受験科目について考え抜いたからこそ、すべての科目に一発で合格できたと思います。本記事では、僕が受験した順番とその理由を説明します。
本記事の内容
- 受験する科目の順番とその理由
- 各科目合格に対する考え方とちょっとしたコツ
本記事の信頼性
Minoru
- 「英語×会計のキャリアを考える」Minoru Blog管理人
- 会計知識ゼロから1年3カ月でUSCPAに合格
- 転職後はBig4アドバイザリーに勤務
【USCPA受験科目①】FAR
最初に受験すべき科目はFARです。理由は次の3点。
- FARはAUD・BECと内容が関連しているから
- 最初の科目は合格実績の失効(Expire)を気にしなくて良いから
- FARはしっかり勉強した方が良いから
1点づつ説明します。
FARはAUD・BECと内容が関連しているから
例えばAUDには「修正仕訳」という分野があり、完全にFARの内容です。また、BECでは「原価計算」の分野があり、ここもFARの知識が土台になります。
「逆にAUDやBECから学んでも良いのでは?」と思う方もいるかもですが、AUD・BECの分野はFARの知識を前提としていますので、FARから学ぶことをおすすめします。
最初の科目は合格実績の失効(Expire)を気にしなくて良いから
USCPAには恐ろしい仕組みがあり、全科目合格するまでは、各科目の合格実績が18カ月(受験日から計算)で失効してしまいます。
つまり、1つ目の科目に合格した瞬間から、18カ月失効ルールが発動するということです。
逆に考えると、1つ目の科目だけは18カ月失効ルールを気にしないで勉強することができます。
ですから、「勉強量が多く、時間がかかる科目」を最初に受験することが正しい戦略です。そして、「勉強量が多く、時間がかかる科目」こそFARというわけです。
下の表は科目ごとの練習問題数です。(アビタスの問題集を参考にしています。)
FAR | AUD | BEC | REG |
916 | 519 | 598 | 681 |
FARの問題数が圧倒的に多いですよね。FARは2科目分あると言っても過言ではないですね。
FARはしっかり勉強した方が良いから
他の科目は表面的な理解で乗り切っても良いと思いますが、FARはしっかり「深く」理解しましょう。なぜなら、すでにお話ししたようにAUDやBECに繋がる科目だからです。
言い換えると、FARは高得点を狙うべきだと思います。
受験生の時に不思議に思っていたのですが、FARを75点ギリギリで合格した人は結構な割合でそのあと苦労していたんですね。
あれは恐らくFARの理解が浅かったために、AUDやBECの勉強効率が落ちてしまったのだと思います。
FARは最初に受ければ18カ月失効ルールを気にせずに勉強できるので、しっかり理解することを目指すべきだと思います。
とはいえダラダラ勉強してもしょうがないので、80点以上ぐらいを目標にして、勉強期間を定めて学ぶのが良いと思います。
1科目目からハードな戦いになりますが、ここを乗り越えるとかなり自信がつきます。2科目目以降で不安になっても「僕はFARを合格できたから大丈夫」と思うことで前向きになれます。
【USCPA受験科目②】AUD
FARの次に受験する科目はAUDがおすすめです。理由は次の2点
- FARと内容が被るから
- 18カ月失効ルールがスタートする科目だから
- USCPAはFAR・AUDの2科目合格から転職に有利だから
1つづつ説明してきます。
FARと内容が被るから
何度もお話ししているように、AUDはFARと内容が一部かぶっています。FARの次に受けることで、この恩恵を最大限うけつつAUDを勉強することができます。
「BECも内容が被っているから、BECを先に勉強しても良いのでは?」と思うかもしれませんが、AUDが先の方が良い理由が次に説明する残り2点の理由です。
18カ月失効ルールがスタートする科目だから
FARは自由に時間をかけて勉強できましたが、AUDからは時間が有限になります。何度か不合格になるかもなので、勉強期間は3カ月ぐらいが相場です。
3カ月と聞くと長く感じられますが、実際にはかなりギリギリです。FAR受験までに勉強習慣はついていると思いますが、効率的な勉強法はまだ確立できていない人が多い時期です。
(勉強を進めていくと、だんだん自分なりの効率的な勉強法を会得していきます。)
ですから、2科目目にはボリュームが小さい科目を選ぶべきだと思います。すでにご紹介した通り、問題数は下記のとおりなので、AUDが該当します。
FAR | AUD | BEC | REG |
916 | 519 | 598 | 681 |
USCPAはFAR・AUDの2科目合格から転職に有利だから
実は、FARとAUDに合格したところから監査法人への転職や経理への転職が狙えます。
僕は転職のためにUSCPAを勉強していたので、「とりあえず転職できる」状態に到達できたことで、精神的にかなり楽になりました。
「合格すれば転職のチャンスが生まれる」ことをモチベーションにAUDの勉強をしていました。
失効の可能性を感じながら1年間以上の間、勉強し続けるのは本当につらいのですが、これが僕にとってはちょうど良いマイルストーンになりました。
因みに僕はAUDに合格したタイミングで転職サイトにいくつか登録して、転職エージェントと話しつつ転職可能な業界をリサーチし始めました。
後から知った話ですが、税理士法人の移転価格税制も科目合格から転職チャンスがありまして、こちらはFAR・BECの組み合わせでも受け入れ可能だそうです。
【USCPA受験科目③】BEC
BECを3番目に受験すべき理由は次の2点です。
- BECはWC(4択問題)とTBS(分析問題)に加えて、WC(ライティング問題)があるから
- BECはFAR・AUDと関連しているから
1つづつ説明します。
BECはWCとTBSに加えて、WCがある科目だから
BECの最大の特徴は、WC(Written Communication)というライティング問題がある点です。
つまり、USCPAの4科目の中で唯一、ライティングが求められる科目だということです。
下記はBECのWCの正答率推移です。
日本 | 全体 | |
全期間 | 13% | 51% |
2016 | 16% | 58% |
2015 | 12% | 54% |
2014 | 8% | 40% |
2014以前 | 11% | 30% |
日本人の合格率が全体に比べてかなり低いことが分かります。つまりBECは日本人にとってかなり不利な科目だということが分かります。
日本人受験生はMC(4択問題)とTBS(分析問題)で高得点を取って、WCでの遅れを取り返さなければなりません。
ですから、FARとBECでかなり勉強ペースに慣れてきているであろう3科目目で受験することをおすすめします。
BECはFAR・AUDと関連しているから
これはもう何度も話していますが、BECはFAR・AUDと関連している科目です。
中には「ライティングがあるBECを最後に持ってきた方が良いのでは」と思うかもですが、FAR・AUDの知識をフル活用したいので、REGを挟むべきではないと思います。
【USCPA受験科目④】REG
最後にREGです。REGを最後に受けるべき理由は次の2点です。
- FARに次いでボリュームが多いから
- 内容が他3科目と独立しているから
1つづつ説明します。
FARに次いでボリュームが多いから
何度も出している表ですが、次の通り、REGの問題数はFARに次いで多いです。
FAR | AUD | BEC | REG |
916 | 519 | 598 | 681 |
また、他の3科目と違って、REGは完全な「暗記科目」です。REG以外では数字やロジック関連の問題が多かったのですが、REGは法律の問題です。
ですから、REGはひたすら「決まった法律ルールを覚える作業」です。そのため、問題数以上にタフな科目になります。
しかも、REGは他の3科目と違って面白くありません。FARやAUDは実務で活用するイメージが湧きますし、BECはコンサルや経営の考え方を学ぶので楽しく学びやすいです。
一方でREGは合格後も使わないであろう「アメリカの法律」を学ぶ科目なので、ほとんどの受験生が「最後の科目だから気力を振り絞る」科目なのです。
ひとつ良いのは、「ひたすら暗記する科目」なので、しっかり努力すれば努力した分だけ点数があがります。日本人はアメリカ人よりも暗記が得意なので、合格率は高い科目になっています。
内容が他3科目と独立しているから
REGはFAR・AUD・BECとは内容が完全に独立しています。勉強するのは連邦税制とビジネス法となっており、計算問題やロジック関連の問題は全くと言っていいほど出ません。
一方で、税務の計算はFARの知識が少し役立つかもしれません。とはいえ、とにかく気合で乗り切る科目だと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事の内容をまとめると以下の通り
- 最初は最もボリュームが大きいFARから受けるべし
- 2科目目には時間制限のある中でも受かりやすいAUDを受けるべし
- 3科目目にはFAR・AUDと関連しているBECを受けるべし
- 最後の気力を振り絞って、REGを4科目目に受けるべし
- 2科目目合格後あたりから転職活動を始めると精神的に楽
USCPAはコツコツ頑張れば天才・秀才でなくても合格できる資格です。一方で、1年半以内に合格するには戦略も大事になってきます。
転職サイトへの登録は個人的におすすめの戦略なので、良かったら試してみてください。
本記事は以上です。また別の記事で会いましょう。