「USCPAに全科目合格したけど、ライセンスの取得までしようか検討中。ライセンスを取得するメリデメが知りたい」
本記事はこの様な悩みに答えます。
まずはUSCPA合格、おめでとうございます。ここまでの道のりは長く、大変だったと思います。
本記事はUSCPA全科目合格者が共通して考える「ライセンスを取得すべきか」についてお答えします。
ライセンス取得のメリットとデメリットをまとめております。
また、ライセンスを取得するプロセスにはちょっとしたコツがありますので、あわせて紹介します。
本記事の内容
- USCPAのライセンスを取得するメリットとデメリット
- ライセンス取得に必要なEthics Examの攻略方法
- ライセンス取得の費用をゼロにするコツ
本記事の信頼性
Minoru
- 「英語×会計のキャリアを考える」Minoru Blog管理人
- 会計知識ゼロから1年3カ月でUSCPAに合格
- 転職後はBig4アドバイザリーに勤務
USCPAのライセンスを取得すべきか【メリットとデメリット】
USCPAライセンスを取得するメリットは次の2つです。
- 名刺に「米国公認会計士」と書ける【ライセンス取得メリット①】
- 合格実績の失効を防げる【ライセンス取得メリット②】
一方で、USCPAライセンスを取得するデメリットは次の2つです。
- 取得と更新には勉強が必要【ライセンス取得デメリット①】
- 取得と更新にはお金がかかる【ライセンス取得デメリット②】
上記4点をひとつづつ説明します。
名刺に「米国公認会計士」と書ける【ライセンス取得メリット①】
名刺に書けるだけでなく、アドバイザリーファームやコンサル会社、監査法人ではCV(履歴書)にも書けることがポイントです。
まず履歴書と聞くと転職時の書類を思い浮かべると思いますが、転職時には「USCPA全科目合格」と書けばよいので安心ください。
ここで言うCVとは、クライアントに提示する提案書の項目です。
プロフェッショナルファームでは、サービスの提案時にCVと呼ばれる簡単な履歴書を提案書に入れるのが一般的です。
ラインセンスを取得していると、CVに「米国公認会計士」と書くことができます。
もちろんCVに「USCPA全科目合格」と書いても良いですが、プロの世界なので一般的ではありませんね。。
CVに「米国公認会計士」と書けるメリットはいくつかありまして次の通りです。
- クライアントの印象が格段に良い(業務中のリスペクトを得られる)
- 上司が自分を公認会計士だと認知する
- 上司が自分のCVを掲載したいと思う
1つ目は分かりやすいメリットですが、2・3つ目が隠れたメリットです。
CVは意外と社内の名刺代わりにもなっているので、隠れたところで出回っています。
見えないところで社内営業活動をしてくれるのがCVなので、ここに「米国公認会計士」と書いておく潜在的なメリットが大きいのです。
また、3つ目は早い段階からクライアントに認知してもらえるというメリットがあります。
スタッフ層のCVは提案書に掲載されないことがあります。この辺りは上司判断だったりするので、上司が「載せたい」と思うCVを作っておけば、載せてもらえる可能性が上がります。
クライアントに認知してもらうことは営業の第一段階です。ライセンスはその大きな手助けになります。
合格実績の失効を防げる【ライセンス取得メリット②】
USCPAの合格実績が失効する可能性があることをご存じでしょうか。
米国以外で受験する人は受験手続きの中で「Informed Consent」に同意しており、この中で次の文言に実は同意しています。
「全科目合格から3年以内にライセンス取得しない場合は、合格実績が失効する可能性がある」
読んだままですが、苦労して手に入れた全科目合格の実績が「無かったこと」になる可能性があるのです。
もちろん、実際に失効するかどうかは不明です。しかし、人生のキャリアに関わる実績が、相手次第で「無かったこと」にされるリスクは大きいです。
失効する可能性が1%だとしても、僕だったらこんなリスクは取りません。
ライセンス取得するだけで、このリスクをゼロにできます。
取得と更新には勉強が必要【ライセンス取得デメリット①】
そこそこの勉強が必要です。具体的には2、3日間といったところでしょうか。
ライセンス更新はそんなに難しくないのですが、ライセンス取得はそこそこ大変です。
ライセンス取得のためには、「AICPA Ethics Exam」と「Washington Ethic Exam」の2つに合格する必要があります。それぞれの概要は次の通り。
AICPA Ethics Exam | Washington Ethics Exam | |
問題数 | 50問 | 30問 |
合否ライン | 90%以上 | 90%以上 |
受験料 | 200ドル弱 | 無料 |
時間制限 | 無制限 | 8時間 |
再受験 | 可能 | (条件付きで)可能 |
*ワシントン州で取得する前提ですが、州ごとに大差はありません。
どちらもオンライン受験なので、自宅やカフェから受験できます。
90%以上の合格が必要と言う点が厳しいところですね。AICPAの方は5問、Washingtonの方は3問までしか間違えられません。
幸い、どちらも制限時間がかなり長いので、じっくり時間をかけて回答できます。
僕は土曜日の朝から夕方を3回使ってひとつづつ合格しました。AICPAの方は一度落ちたので、計3回受験で3日使いました。
合格にはコツがあるので、紹介しますね。
まず教材ですが、それぞれ、次を参照しましょう。
- AICPA Ethics Exam: 試験ソフト内の「Participant Manual」
- Washington Ethics Exam: Washington State Ethics & Regulations for New CPAs study guide
Washington Ethics Examは上記に加えて、「WASHINGTON STATE BOARD OF ACCOUNTANCY」を枕詞にしてGoogle検索すると大変便利です。
Washington Ethics Examは、上記リンクの末尾にある過去問をまず参照しましょう。一言一句同じ問題がでることが多いので、オンライン上の問題をコピペして検索しましょう。
上記をおさえておけば基本は大丈夫ですが、心配な人はネットで調べるといろいろな人がおすすめ教材を公開しているので、それらを保存しておくとよいです。
そして解くときのコツですが、必ずWordファイルに問題文と自分の解答を残しておきましょう。再受験する時に同じ問題がかなり出るので、再利用で時間短縮できます。
もちろん不合格時の解答なので心配もありますが、自信がある解答はそのまま使えます。僕はWordファイルに参照元も記録して、再回答時はチェックしてから使ってました。
取得と更新にはお金がかかる【ライセンス取得デメリット②】
もはやUSCPAあるあるかもですが、ライセンス取得にもお金がかかります。下の表をご覧ください。
控えめに言って「高い」ですよね。取得のために1~3が必要でして、取得後も4・5が更新費用として発生します。
なお、サインサポート料とは実務経験証明書に必要なUSCPAライセンサーによるサインをアビタス経由で取得するサービス料金です。
僕は身の回りにサインしてくれそうなUSCPAがいない(正確には変なお願いをしたくなかった)ので、アビタスに依頼しました。
ライセンス申請に必要なもろもろの書類にアドバイスまでくれるので、コスパは見合っていたかと思います。
とにかく、初期費用も維持費用も高いのがUSCPAライセンスなので、この辺は覚悟しましょう。
USCPAのライセンスを取得する前にすべきこと
ここまでライセンス取得のメリデメを話してきましたが、実際に行動する前に大事なことをお伝えします。次の2点です。
- (当たり前ですが)自社に費用補助制度があるか確認しましょう
- 転職を考えている人は、なるべく制度がある会社を事前リサーチしましょう
(当たり前ですが)自社に費用補助制度があるか確認しましょう
これは言うまでもないですが、自社に費用補助があるかどうか必ずチェックしましょう。意外と補助がでる会社が多いみたいです。
次の3点が出るかどうかのチェックが必要です。
- 受験料:予備校代や受験料の補助がでるかどうか
- ライセンス取得料:ライセンス取得時の諸費用がでるかどうか
- ライセンス維持費用:ライセンス更新時の諸費用がでるかどうか
意外と3点目が大事です。言うまでもなく、リタイアするまでずっと発生する費用だからですね。通算で見れば言うまでもなくかなりの金額になります。
転職を考えている人は、なるべく制度がある会社を事前リサーチしましょう
「残念ながら会社に費用補助制度が無かった」と言う方で、転職も考えている人は、なるべく補助制度がある会社を事前リサーチしましょう。
「そんなのどうやってやれば良いの?」と言う方に具体的な方法をお伝えします。次の2つです。
- 求人の福利厚生欄をチェックする
- 転職エージェントにチェックする
1つ目は極めてシンプルです。転職サイトに登録すると送られてくる求人をちゃんとチェックして、その会社に「資格費用補助」があるかどうかをチェックしましょう。
しかし、ほとんどの場合はあまり細かく書いて無く、どれだけ補助されるかは不明です。
一番確実なのは、転職エージェントと面談する際に、「その会社は資格費用補助がありますか?」と聞くことです。
転職エージェントは採用側と連絡先(コンタクト)を持っているので、確認してもらえます。
ライセンス関連費用はかなり大きい金額ですから、事前にしっかりチェックしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事の内容をまとめると次の通り
- ライセンスを取得すれば名刺やCVに「米国公認会計士」と書ける
- ライセンスを取得すれば合格実績が失効するリスクをゼロにできる
- ライセンスを取得するには勉強と費用がかかる
- 費用が勤務先に補助してもらえるか必ず確認しよう
- 転職する人は、転職先に補助制度があるか必ずチェックしよう
ライセンス取得は面倒ですが、ここまでしっかり完結すれば、本当の意味でキャリアに役立つ資格となります。
本日はそのためのちょっとしたコツを紹介しました。
本記事は以上です。また別の記事でお会いしましょう。