「USCPAはコスパ最強の資格とか言われているけど、実は取得しても意味がないなんてことはないだろうか?意味がないと言われる理由を知りたい。」
本記事はこんな悩みに答えます。
USCPAを取得しても意味がないと言う意見は一定数あります。僕はUSCPAですが、この意見には正しいところもあると思っています。
一方で、USCPAを取得するメリットも確実にあると思っているので、今回はUSCPAを取得する意味がある人も紹介します。
USCPAが意味ないと言われる理由:USCPAのデメリット
主に3点あるかと思っていまして、次のとおりです。
- 海外就職した人にはUSCPAは意味がない(かも)
- USCPAで学ぶ知識は米国基準だから意味がない
- 国内ではUSCPAに独占業務が無いから意味がない
ひとつづつ説明しますね。
海外就職したい人にはUSCPAは意味がない(かも)
先に一つ断っておくと、USCPAは海外就職にポジティブな作用があります。僕の友人でUSCPAを取得して、未経験からアメリカの会計事務所に転職した人もいます。
未経験を受け入れるアメリカの会計事務所の求人を実際に目にしたことも何度かあります。
ですからアメリカで就職したい強い希望があるなら、USCPAは有効です。
しかし、アメリカにこだわらないなら海外就職の最短ルートはUSCPAではないでしょう。
シンガポールやオーストラリアであればすでに経験がある職種でチャレンジした方が成功確率が高いです。
また、タイやフィリピン、インドなどの新興国であれば、現地採用の枠が常にあるので、USCPAが無くても採用の可能性があります。
つまり、アメリカ就職を目指す人にはUSCPAは有効ですが、それ以外の人には意味が無いと思います。
なお一点、アメリカ就職には常にVISA取得というギャンブルがあるので注意です。
USCPAで学ぶ知識は米国基準だから意味がない
日本で監査業務を行う場合、会計基準はほとんど日本基準(JGAAP)かIFRSです。米国基準で監査業務をすることはほぼ皆無でしょう。
ですから、USCPAを取得するだけでは特に日本基準を追加で学ぶ必要があるというのは事実だと思います。
実際、USCPAを取得して監査法人に入所した人の多くが入所後に簿記1級を目指して取得しています。
「USCPAを取ったあとに勉強しなくちゃいけないなんて、二度手間で面倒だな。」と思われる方も多いと思います。
追加の勉強が必要と言うのは事実ですが、少しだけ捕捉しますね。
まず一つは、USCPAは業界への切符代わりだということです。別記事でも良く書いていますが、USCPAはそれ単体で実務ができるようになる資格ではありません。
一方で幅広い知識を学ぶことができる人の証明になるからこそ、監査などの業界人に迎え入れてもらえるのです。
そして、働きながら取得できる資格で、USCPA以外で監査や財務アドバイザリー(そのほかフィナンシャルアドバイザーなどなどいろいろあります)と言った専門業界に受け入れられる資格は他に無いでしょう。
専門業界に入るからには、USCPAであろうとなかろうと自己研鑽は必要と思えば、それほど大きな負担ではないと思います。(実際僕も今でも勉強漬けです。)
もう一つ捕捉するとすれば、簿記1級は合格する必要はないということですかね。資格のバリューとしてはUSCPAの方が高いので、模擬試験で50点から55点ぐらいを取れるようになっていれば実務では十分と考えます。
結論、意味がないとまでは言えないまでも、勉強は続ける必要があるといったところだと思います。
国内ではUSCPAに独占業務が無いから意味がない
独占業務とは、この資格を持っている人にしかできない業務のことですね。
例えば日本の公認会計士は「監査報告書にサインする」という独占業務を有しています。
つまり、上場企業の決算書類に対して「これは適正な会計基準に則った適正な財務諸表ですよ」と表明することができるんですね。
上場企業は公認会計士にサインしてもらわなければならないので、監査法人に監査報酬を支払って、監査してもらい、このサインをもらっているんです。
USCPAは米国の公認会計士なので、米国企業の監査報告書にサインするという独占業務を有していますが、日本企業の監査報告書にサインすることはできません。
だから「USCPAをとっても日本じゃ意味が無いよ」と言われるわけです。
ただ大事なポイントは、実際にサインするのはパートナーと呼ばれる監査法人のトップ層のみだということです。
ですから、USCPAが監査法人に入所しても、問題なく業務を行うことができます。
「でも、パートナーになるにはUSCPAでは不足ということなんじゃないの?」と思われる方もいるのでもう少し捕捉します。
USCPAでパートナーになっている方も実際は多く存在します。こういった方は財務アドバイザリー業務と呼ばれる監査法人内のコンサル業務に従事することが多いです。偉くなってから上層部でシフトするということです。
他には海外企業の日本支部の監査を担当するチームを率いたり、複数パートナーが関与する大企業の案件に入ったりしますね。
ですから、確かにUSCPAを取得しても監査報告書にサインできないという点で意味がないのですが、事業会社への転職を含めればキャリアアップの機会は十分にあるというのが僕の考えです。
USCPAを取る意味がある人はこんな人:USCPAのメリット
USCPAを取る意味があるのは次の人につきると思います。
- USCPAをキャリアアップ/チェンジしたい人には意味がある
要は、USCPAはキャリアに影響を与える資格であり、実務力に主眼をおいた資格ではないということですね。
USCPAでキャリアアップできる人は例えば次の様な人です。
- 経理職
- 経営企画
- FP&A
簡単に言ってしまえば、会計財務関連の業務に関わる人にはポジティブな作用があります。特に外資へ転職する場合は大変ポジティブです。
また、USCPAでキャリアチェンジできる人は次の様な人ですかね。
- 経理(監査法人へのキャリアチェンジ)
- 営業職など、その他誰でも
USCPAの最大の魅力だと思っているのですが、この資格を取れば誰でも未経験から会計業界への道が開けます。(僕がこの例です。)
ただし、あくまで切符なので、USCPA取得後も自己研鑽を続けなければ、業界でのキャリアアップは難しいので、この点は覚悟が必要です。
また、年齢にも少し注意した方が良く、もっとも効果的なのは20代の取得だと思います。ただ30代前半までは十分効果がありますし、面接での工夫次第でカバーが可能だと思っています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事で紹介したUSCPAを取得しても意味がないと言われる理由は次の3点でした。
- 海外就職した人にはUSCPAは意味がない(かも)
- USCPAで学ぶ知識は米国基準だから意味がない
- 国内ではUSCPAに独占業務が無いから意味がない
USCPAを取得して実際に異業種であるアドバイザリー業界に転職して思うのは、やはりこの資格が良くも悪くも切符だということですね。
転職にここまで強力な資格は無いと今でも思いますし、この資格に感謝しています。一方で、やはりこの資格だけで実務をこなすのは困難なので、自己研鑽が欠かせません。
ここはぶっちゃけ大変です。しかし、USCPAだからと言うわけでもなく、日本の公認会計士であっても同じことだと思います。努力できる人が飛び込む業界なのだと思っています。
USCPAという資格のイメージを持っていただけたなら幸いです。