

本記事の内容
- 投資の初心者がおさえるべき株式市場の性質
- 投資初心者が持つ最大の武器
- 投資初心者が着実に利益を積み上げるために実施すべき投資法
本記事の信頼性
Minoru
- 1000万円を海外株式で運用
- 米国公認会計士。本業では財務会計面から企業を分析
- ファンダメンタルズ分析を基に長期投資する方針
- ニューテクノロジー関連が好きで、少額で投資している
プロも予測できない。初心者が知っておくべきブラック・スワンとは



株式市場はベルカーブ(正規分布)ではなくベキ分析である
難しい言葉から入りましたが、簡単に言うと「株式市場では極端なイベントが一定期間ごとに起きる」ということです。
従来、株式市場での出来事の分布はベルカーブ(正規分布)になると考えられていました。
下表(左)のイメージですね。縦軸が「イベントの発生頻度」で、横軸が「イベントの極端さ」です
上記(左)のイメージでは、「もっとも起こるイベント(中央値)がほとんどで、極端なイベントはほとんど起こらない」ことになります。
しかし近年では、株式市場のイベントは上記(右)のように分布されていると考えられています。
上記(右)の分布では、「もっとも起こるイベント(中央値)が正規分布ほど多くなく、極端なイベントが正規分布より多く発生」します。
極端なイベントが長い尻尾のように横に長く伸びているので、この部分をロングテールと呼びます。
つまり、株式市場では「予測できない極端なイベントが定期的に発生する」ということです。
ブラック・スワンはプロでも予測できない
「予測できない極端なイベントが定期的に発生する」ことを「ブラック・スワン」と呼びます。
黒い白鳥(スワン)が見つかった時の衝撃になぞらえて、ナシーム・ニコラス・タレブというヘッジファンド運用者が2007年に提唱しました。
2001年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショック、2020年のコロナショックがブラックスワンと呼べるでしょう。
10年前後で発生しているブラックスワンですが、理論的に説明がなされているものの、その予測はプロの投資家にも困難です。
実際、コロナショックもビル・ゲイツなどのごく一部の天才以外はまったく想定できませんでした。
もし我々のような個人投資家がブラック・スワンに完全にハマった場合、残念ながら一生かけて取り戻せるかどうかの損失を負うでしょう。
だから我々は次の2点を肝に銘じる必要があります。
- ブラック・スワンは必ず訪れるし、予測はできない
- ブラック・スワンを乗り越える投資法が必要不可欠である
特に2点目が重要ですよね。
初心者(素人)でもプロを上回る投資実績を出せる。その方法とは


初心者(素人)が株式投資において持っている最大の武器
機関投資家やヘッジファンド・マネージャーなどのプロの投資家に無く、我々のような個人投資家が持つ唯一最大の武器が何かわかるでしょうか。
それは「時間」です。
機関投資家やヘッジファンド・マネージャーは4半期(3カ月)ごとに成果が求められます。
株式市場が3カ月~1年ぐらいの未来を予測した値動きをするとよく言われるのもプロの投資家がこれぐらいのスパンで売買を繰り返すからですね。
プロの投資家は1年程度で利益を稼ぎ出すノウハウを持っていますが、逆に「時間」を持っていないのです。
お金を預ける富裕層から短期的なリターンを求められているからですね。
仮に「5年後には利益が出るからちょっとまってくれ」と言い出すプロの投資家がいるとしたら、その場で解任されるでしょう。
逆に、我々のような個人投資家は、5年と言わず何十年も待つことができます。だからこそ、長期的に小さい少しづつ価値が上がっていく金融商品に投資することが最もリスクが低く、安定的に稼ぐことができます。
表にすると下記のイメージです。
この様に、向こう30年の間に5万円/月の積み立て投資することで貯金したままでは1,800万円にしかなからい貯蓄が2,940万円まではねあがります。
これだけの貯金があれば老後資金は十分と考えられますよね。残りの資金は外食・旅行・遊びに自由に使うことが可能です。


まず最も無難なのは、「上場インデックスファンド世界株式(MSCI ACWA)除く日本(証券コード1554)」でしょう。
上記は「上場インデックスファンド世界株式(MSCI ACWA)除く日本(証券コード1554)」の株価推移です。
この金融商品は「全世界の株式の総和と連動するETF(上場投資信託)」です。世界経済は着実に成長していますから、その成長に連動するイメージです。
この商品ならば、個別株式に投資する際の次の様なリスクをすべて無視できるレベルに抑えられます。
- 特定地域の大地震
- 不正会計や巨額賠償などによる特定企業の業績悪化
- 特定地域の戦争等による景気悪化
- 特定業界の衰退
このETFは一時的な上下はあるものの、着実な成長を見せています。設定以来(2011年3月11日)から本日(2020年8月25日)までの年利は10.4%と大変高い数値です。
また、成長が緩やかな2018年から本日までの年利を計算しても3.9%ですから、上記の積み立てイメージにしっかりマッチしています。
プロの投資家は短期的に大きなリターンを求めるので、こういったETFに投資することは考えられませんが、我々は「時間」という武器を生かして大きなリターンを狙えます。
このように、ETFはリスクを広く分散しつつ、着実なリターンを狙うことができるので、積み立て投資と非常に相性が良いです。
もし「もう少しチャレンジしたい」ということであればGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)を含むS&P500と連動するETFや、新興国株式のETFも検討の価値があると思います。
始めるタイミングはいつでも良いが、武器を最大限生かすなら早い方が良い


株価がいつ下がるかは誰にもわからない
「株価がいつ下がるかは誰にもわからない」これに尽きます。もしかしたらこれから10年間、コツコツと上がり続けるかも知れません。その場合、貴重な投資機会を失ってしまうかもしれません。
ですから、個人投資家の武器である「時間」を最大限に生かすために投資は早く始めた方が良いと僕は思います。
一方で、「早く始めて下がってしまったらどうするの」と心配かも知れませんが、そう言った心配をおさえるための積み立て投資であることをご説明します。
下表をご覧ください。毎月5万円(年間60万円)を積み立てる場合に購入する株式数の計算です。
1年目・2年目・3年目に購入する株式数はそれぞれ下記のイメージです。
- 1年目:1株300円と割高なので、購入した株式数は2,000株
- 2年目:1株100円と割安なので、購入した株式数は6,000株
- 3年目:1株200円と中程度なので、購入した株式数は3,000株
この様に、積み立て投資では株式が安い時に多くの株式を買い、割高な時に少しの株式を買うことができます。これを「ドル・コスト平均法」と呼びます。
「じゃぁ、一番安い時に3年分の株式を購入すれば良いじゃないか」と思うかもしれませんが、株式が割高か割安かはその時々では判断が困難です。
何年もたってから「あの時は割安だったね、割高だったね」となるものなで、「ドル・コスト平均法」はETFで着実に成果を出すためには最高な投資法です。
積み立て投資は「積み立てNISA」や「iDeco」を活用すれば誰でも簡単に始められますし、しかも節税にもなるので大変おすすめですよ。
初心者(素人)が積立投資で成功するために大事なこと


人は「得」よりも「損」に敏感

はてな
A. 100万円を無条件でもらえる
B. 200万円を1/2の確率でもらえる
あなたはどちらを選びますか?




積み立て投資を継続するために大事なのは、損益を確認しないこと
「損」を回避するのは生き物として正常な感覚で、生存本能みたいなものかも知れません。しかし、ETFの積み立て投資ではこの本能をうまくコントロールする必要があります。
口座残高を頻繁にチェックすると、利益が出ていることもあれば、損失が出ているときもあるでしょう。長い投資の中で、思うようにリターンが得られない時期も必ず出てきます。
そんな時、一時的に「損」が出ているからと思い悩むと、「今は現金でもっておこう」「他の金融商品に買い替えよう」などと考えてしまい、せっかく始めた積み立て投資が終わってしまうかもしれません。
積み立て投資は数十年と超長期の取り組みなので、一時的な損益に一喜一憂することは賢くありません。
一番良い対策は「残高を見ない」ことです。人間はどうしても「損」に敏感に反応してしまうので、いっそ「残高を見ない」ことで、「損失」を気にしないようにしましょう。
どうしても難しい方は、例えば1週間に一度だけなど、少しだけ見るようにしましょう。とにかく思い悩むことが一番の失敗ですから、人間の性質を理解して自分をコントロールしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事の内容をまとめると下記の通りです。
- 株式市場では極端なイベントが一定期間ごとに起きる
- 初心者の投資家でも持っている強力な武器は「時間」
- 「時間」を最大限に活かす投資法は「積み立て投資」
- ETFに投資すれば様々なリスクを回避して着実に利益を目指せる
- 「ドル・コスト法」で株価の上下に悩むことから解放される
- 人は「損」に敏感だから、投資損益は確認しないことが大事
資産形成は今の日本人には大変大事な課題ですし、ETFの積み立て投資はその対策として芝らしい解決策だと思います。
本記事があなたの人生を豊かにする一助になれば幸いです。
本記事は以上です。また別の記事でお会いしましょう。